2014.8.28【日译中】小说试译《第一章

咯口 (61儿童节) 路人甲
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发表于:2014-08-28 22:40 [只看楼主] [划词开启]
 

      

 秋の終りの午前十時頃だった。三階建モルタル塗りの雑居ビルの裏の駐車場は、毎年のことだが、あたりに一本の樹木も見当たらないのに落葉だらけになっていた。私は、まだ走るというだけの理由で乗っているブルーバードをバックで駐車して、ビルの正面にまわった。鍵のかからない郵便受けの中のものを取り、一人しか通れない階段を昇り、決して陽《ひ》の射さない二階の廊下の奥にある自分の事務所へ向かった。なにしろ東京オリンピックの年にマランンの未公認世界記録なみの早さで建てられた代物《しろもの》なのだ。

   那是秋末的某天的上午十点左右。三层涂灰泥的杂居楼里的停车场,每一年,明明周围一棵树都看不到,却会落叶遍地。我,只凭它还能走的理由骑着的青鸟,将它停在后面,绕到正面。取了没有扣锁邮箱中的东西,走上只能通过一个人的楼梯,向着位于绝对不会射到太阳的二楼走廊深处的事务所走去。毕竟是东京奥林匹克那一年以马拉松未公认的世界纪录媲美的速度被建的活计

 待合室の代わりに事務所のドアの脇に置いてあるベンチに、カーキ色のコートに身を包んだ男が坐っていた。眼の前の何もない空間をじっと見つめている彼の様子は、催眠術にでもかけられているように無防備に見えた。足音を立てて近づくと、彼はようやく私に気がつき、減量に失敗したライト級のボクサーのようにゆっくりと立ち上がった。私より少し年下の三十代後半という年齢で、私と同じ一メートル七十五センチ前後の背恰好だった。うっすらと無精ひげの伸びた顔がどこか病み上がりのような印象を与えた。彼は両手をコートのポケットに突っ込んだまま、途方に暮れたような表情で私を見つめた。

放在事务所旁边而不是会客室的长凳上,坐着一个身着卡其色外套的男人。他盯着眼前什么也没有的空间看着的样子,看上去就像是中了催眠术一般无防备。故意发出脚步声靠近后,他才终于注意到我,像是减轻体重失败的轻级拳击运动员一样缓慢的站了起来。年纪比我稍小,三十岁快要到四十岁,身高大约是和我一样的一米七五左右。稍微长了些胡茬的脸,给人一种哪里大病初愈【经历过一场病的印象。他就将手插在口袋里,以一种像是迷途的羔羊般的表情注视着我。

「あの……この事務所の方ですか」

 劳驾……您是这个事务所的人吗?

 私は返事の代わりに、はげかかったペンキで〈渡辺探偵事務所〉と書かれたドアの鍵を開けてみせた

    我没有回答,而是将用差不多剥落了的油漆写着-渡边侦探事务所-的门锁打开给他看。

「渡辺さんですね?」と、コートの男は重ねて訊《き》いた。

    你是渡边先生对吧?外套男又问了一次。

「彼に用がおありなら、少なくとも五年前においでになるべきだった。渡辺は昔のパートナーで、いまこの事務所には私一人しかいない。私の名は沢崎《さわざき》です」

    若找他有事,至少应当得在五年前来。渡边是我以前的搭档,现在,这个事务所里只有我一个人。敝姓沢崎。

 男は戸惑った。「いや、そういうことじゃなくて……この事務所の人に会いに来たのです」

     他迷惑了。不是我不是为那个来的……我是来见这个事务所的人的”

 私はドアを開けて事務所の中へ入った。彼はドア口にたたずんだままで言った。「先週、ルポライターの佐伯《さえき》という人がこちらへ訪ねて来たはずです」

     我打开门进了事务所里面。他就/伫立在门口,说:“上周,应该有卢波·莱特的一个叫佐伯的人来过的”

 私は自分の記憶をたどった。思い当たることは何もなかった。「とにかく、そこでは話にならない。中へ入ってくれませんか」郵便受けから取って来たものをデスクの上にほうり、デスクの背後にまわって窓のブラインドを上げた。部屋の中がいくらか明るくなった。

    我搜寻了一下我的记忆。没找到任何东西。“总之,站在那儿也说不成话。能不能进来说?”把从邮箱里取来的东西放到桌子上,再绕到桌子背后,拉起百叶窗。房间里多少变得亮堂些了。

 コートの男は仕方がないというように最小限度だけ事務所の中へ入り、ポケットから左手《ヽヽ》を出してドアを閉めた。私は自分のデスクの椅子に腰をおろし、彼にもデスクを隔てて置いてある来客用の椅子をすすめた。

     外套男像是无奈般的只最小限度的进入了事务所,左手从口袋中拿出来关了门。我坐到自己桌子的椅子上,也请他坐隔着桌子放着的客人用椅子

「いや、ここで結構。佐伯さんがこちらへうかがったと思われる先週の木曜日以来、彼と連絡が取れないのです。彼は自分のマンションにも戻った様子がない。ぼくは早急に彼に会う必要があるんです」

   “不用,谢了。从可能佐伯先生到访过此处的上周四起,就联络不上他了。也没有他回了自己公寓的迹象。我有必要尽早见到他。”

「申しわけないが、あなたのお役には立てないようだ」

   “ 抱歉,好像帮不上您什么忙。

「どうして?」彼は思わず二、三歩前へ出た。「彼がここへ来たのかどうか、それが知りたいだけなのに」

    为什么他不由得上前了两三步。他有没有来过这里,我明明只想知道这个而已。

「口数が多いほど探偵の信用は少なくなるそうだ。もっとも、依頼人に対しては別ですが——」

    据说嘴越多的侦探信用越少。话虽如此,委托人就另当别论了-------

 私は上衣《うわぎ》のポケットからタバコを取り出して、紙マッチで火をつけた。ピースという間の抜けた名前の|両切り《ヽヽヽ》のタバコだった。

    我从上衣口袋取出烟,用火柴点了火。是一个叫做的中间缺一个字的牌子的卷烟

 コートの男性何かを企んでいるようにゆっくりと来客用の椅子に近づき、椅子の背に左手をかけた。彼はかすかに口許を歪めて言った。「では、あなたの依頼人になろうじゃないですか。一日分の料金でも、先週の木曜日以来の料金でも請求すればいいでしょう。その代わり、ぼくの知りたいことを教えてもらいたい」

    外套男像是有什么企图一般慢慢的接近了客人椅、把左手搭在椅背。他微微歪着嘴角说。“那,我是要成为你的委托人吗?不论是一天的费用、还是上周四以来的费用,你要多少我给多少与此为交换,还想请你告诉我我想知道的一切。

 私はタバコの煙を吐き出した。煙の輪が彼のコートの胸に当たって顔のまわりで壊れたが、彼は身じろぎもしなかった。

    我吐了一口烟。烟圈吹中了他外套的部分在脸周围散开、然而,他动也不动。

「お断わりだ」と、私は言った。「きみは私を買収しようとしているにすぎない」

“我拒绝。”我说。“你不过是在试图收买我。”

 コートに包まれた彼の両肩に言い知れぬ疲労感が漂った。彼は来客用の椅子を引き寄せると、倒れ込むように腰をおろした。

     包裹在外套里他的双肩露出显现出一种不能言说的疲劳感他一把客人用椅子拉倒近旁就如同瘫倒一般,坐进椅子。

「いったい、どうすればいいんだ」と、彼はつぶやいた。

“到底,要怎么做才行。”他,喃喃地说道。

 その科白《せりふ》は私に言ったようには聞こえなかったが、私は答えた。「まず、自分の名前を名乗ることから始めたらどうです。ルポライターの佐伯氏は何のためにここへ来たのか、それも聞かせてほしい」

     这话不像是对我说的,但,我回答了。“先从你姓甚名谁开始如何?卢波·莱特的佐伯氏为什么来这儿、那个我也想问。”

 彼は困惑しきっていた。名前を告げていなかったことに驚いているようでもあり、名前を知られることが不都合なようでもあった。確かなことは、彼がいつまでも素人探偵のような下手な質問を続けている限り、私の依頼人にはなりそうもないということだった。

    他开始感到困惑。既像是惊讶于自己还没有通报姓名,又像是不方便被人知晓姓名。确定的是,只要他还在进行菜鸟侦探般的质问,就不见得会成为我的的委托人。

 彼はずるくて子供っぽい笑みを浮かべた。「佐伯さんがここへ来たのなら、彼が何のために来たかということも、そしてぼくの名前も、あなたは聞いているはずですね」

    他脸上浮现出狡猾且小孩子气的笑容。“佐伯先生要是来过这里,他为什么来,还有我的名字,你都应该问过的/知道的。

 私も負けずに笑みを返した。「すると結論は一つ——佐伯氏はここへは来なかった。それで納得がいったなら、早々にお引き取り願いたい。私も一服したところで、郵便物の整理にでも取りかかりたいのでね」私はタバコの吸いさしを、Wの形をした黒いガラスの灰皿でもみ消した。

    我也不服输地笑了回去。“于是就一个结论- -佐伯氏没来过这里。你要是接受了这个答案,就请早早打道回府。”我在W形的黑色玻璃烟灰缸将烟灰揉尽

 彼は私の背後の窓に視線を注いだまま、しばらく考え込んでいた。彼の位置からは、裏の駐車場を隔てて建っている、同様に古ぼけた雑居ビルの灰色の壁しか見えないはずだった。あらためて彼の顔をじっくり見ていると、スポーツマンとして通用しそうな体格のわりには、何かもっと繊細な神経を要求される仕事をしているのかも知れないと思った。他の部分に較べて細く通った鼻筋が多少バランスを欠いているが、全体としては感じのいい好男子だった。

    他继续将视线集中与我身后的窗户,暂时陷入了思虑之中。从他的位置,应该只能看到隔着内部/后面停车场建着的同样老旧的杂居楼灰色的墙壁。重新仔细的看他的,我想,可以当运动员的体格,意外地可能正做着什么需要有更加纤细的神经的工作,比较其他部分细细的穿过的鼻梁多少缺点平衡感,但总体感觉是个不错的好男人。

 彼には、口をきく前に自分の気持が顔に出てしまう子供っぽい癖があったので、今度も彼の話のだいたいの方向を察することができた。「こちらの知りたいことを教えてくれたら、現金で二十万出そう。もし、佐伯さんがここへは来なかったのなら、はっきりそう言ってくれればいい。ぼくはこんな所で手間取っていたくないんですよ」

    他有一种问话前就将自己的心情表现在脸上的孩子气的习惯、这一次也大略推察出了他的话的方向。“要是你告诉我我想知道的,就给你二十万。要是佐伯先生没来过,你明说就好。我不想在这种地方浪费时间啊。”

 彼は左手でコートのポケットから白い封筒を出して、私のデスクの上にほうってよこした。表に〈東京都民銀行〉と印刷されたサービス用の封筒だった。

「たぶん二十枚以上の一万円札が入っているはずだ」

    他用左手从外套的口袋里拿出一个白色信封、递到了我的桌上。是一个表面印有《东京都民银行》的服务用信封

「お役には立てないな。それ以上自分をつまらない人間に見せる必要はない」私はうんざりしていた。

   “帮不上忙啊。没必要再给无聊人看自己的脸了。”我厌烦了

「佐伯さんの身に危険があるのかも知れないんですよ」と、彼は感情的な声で言った。だが、すぐに自分の態度を恥じるように私から視線をそらしてしまった。

   “佐伯先生可能身处危险之中啊”,他用不理智的声音说。但,马上像是为自己的态度感到羞耻一般,错开了我的视线。

「順序立てて話してみたらどうです」と、私は言った。「断わっておくが、買収も脅迫も泣き落としも一切なしで」

   整理一下再说行吗?”,我说。“先说一句、绝对不要收买、胁迫和哭诉

「それは……できない。いや、佐伯さんと相談してからだったら……フン、その佐伯さんの行方が分からないというのに、一体どうすればいいのか、ぼくには分からない」

……做不到。不是,要是先和佐伯先生商量一下的话……呼,明明那位佐伯先生行踪不明,到底要怎么办才好、我不知道。

 この男は、佐伯という人物の行方とは別に、何か彼自身の大きな悩みを抱え込んでいるようだった。彼の疲労と焦燥の原因となっていることは、もっと深刻な問題なのではないかという気がした。

    这个男人,除佐伯这个人物的行踪外,好像还抱着一个他自己的什么大烦恼。感觉让他疲劳与焦躁的原因,恐怕是更加严重的问题。

「ゆっくり考えたまえ」と、私は言った。タバコを一本抜き取ってくわえ、そのパッケージを彼のほうへ投げてやった。右手で掴《つか》まざるをえないところを狙って投げたのだが、彼は心理状態に似合わぬ反射神経で上体をひねり、見事に左手でキャッチした。彼は私の|もくろみ《ヽヽヽヽ》に気がついて、にやりと笑った。そして、あくまでも左手だけで器用にタバコを抜き取ってくわえ、パッケージを投げ返した。彼は見かけよりも案外したたかな男なのかも知れない。私は紙マッチで二人のタバコに火をつけた。

“慢慢想”,我说。叼出一根烟、把烟盒丢向他那边。虽然是盯着必须用右手才能抓住的为止丢的,但是他凭与心理状况不符的反射神经,扭转上身,漂亮地用左手接住了。他注意到了我的企图,会心一笑。然后,到底仅凭左手便熟练的抽出一根烟叼住、把烟盒丢了回来。我用火柴给两个人的烟点了火。

 私たちはしばらくタバコの煙の中で沈黙を守っていた。彼は私の両切りのタバコをまったく苦にしなかった。これに慣れない者は、フィルターのない吸口の始末に困ったり、強く吸い過ぎて咳き込んだりして、閉口させられるものだ。彼はそういう要領を心得ていた。やがて、換気の悪い事務所の中にタバコの煙がたちこめた。

    我们一段时间内在烟草的烟雾中保持着沉默。他丝毫不觉得我的卷烟?苦/难抽。不习惯这个的人,会不习惯没滤嘴的烟嘴,或者吸过头被呛到等,总会被折服。他领会到了这种要领。终于/不久,在这通风不良的事务所中,烟雾缭绕。

 煙の向こうから、彼が初めて平静な声で言った。「もう少し、自分で佐伯さんを捜してみるつもりです。案外、今ごろは彼のマンションに戻っているかも知れない……いずれにしても二、三日のうちには、またここへ来ることになると思う。そのとき、佐伯さんも同行できれば問題はないんだが……」

    从烟雾的对面,他初次用平静的声音说。“我打算,再靠自己找一会儿佐伯先生看看。说不定,现在他可能已经回了公寓……不管怎样,我认为两三天内,我还会来这里的。那个时候,要是佐伯先生能和我一起来的话就好了……

 彼はタバコを消して、立ち上がった。最初に廊下で見かけたときの無防備な印象は跡形もなく消えていた。

    灭了烟,站了起来。最初在走廊里看到时的无防备的印象,连痕迹都消失了。

「それまで、その封筒は預かって下さい。くどいようだが、もし佐伯さんと接触があれば——これから、ということもあるから——ぼくが連絡を取りたがっていたことを伝えていただきたい。では、これで失礼」彼はかすかに頭を下げると、ドアのほうへ向かった。

    到那时为止请保管好这个信封。可能有点烦人、要是和佐伯先生有接触的话- - - -接下来,也会有这样的情况,所以- - - -请告诉他我想和他联络。那,我先告辞了。”他微微的点了点头,走向门去。

 私は彼の背中に訊いた。「きみのことは何と言えばいい? 右手を見せない男か」

    我对着他的背影问。“我要怎么说你才好?不给看右手的男人吗?”

 彼はドア口のところで振り返って、苦笑した。「海部《かいふ》と言えば分かりますよ。タバコをありがとう。口は悪いが、タバコの趣味は悪くない」

     他在门口处回头,苦笑。“说海部就明白的。烟,谢谢了。嘴臭,烟的品味倒不错。”

 彼は事務所のドアを閉めて立ち去った。彼を引き止めようとしてもむだなことは判っていた。彼の問題はおそらく探偵の手に負えるようなものではあるまい。ルポライターの佐伯という人物を見つければすむようなことなら、彼があれほど切迫した態度を取ったのが解せなかった。デスクの上の封筒を手に取ると、確かに現金の厚みが伝わって来た。にもかかわらず、私は海部と名乗った男が再びこの事務所に戻って来るという気がしなかった。

    他关了事务所的门走了。我判断就算我挽留他也没有用。他的问题恐怕是侦探所不能解决的。要是是找到卢波·莱特的佐伯这样一个人就完了的问题,就不能解释他为何采取那样迫切的态度。将桌上的信封拿到手里掂了掂,确实告诉了现金的厚度。不管怎样,我不觉得自称海部的男人会再次回到这个事务所。

分类: 笔译口译
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