【读书笔记】I can speak 太宰治-20141103

y1_zww (viviArbus)
【A+研究所】荣誉会员☆网校制霸
地狱见习巫师
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发表于:2014-11-03 12:31 [只看楼主] [划词开启]

 くるしさは、忍従の夜。あきらめの朝。この世とは、あきらめの努めか。わびしさの堪えか。わかさ、かくて、日に虫食われゆき、仕合せも、陋巷(ろうこう)の内に、見つけし、となむ
 わが歌、声を失い、しばらく東京で無為徒食して、そのうちに、何か、歌でなく、謂(い)わば「生活のつぶやき」とでもいったようなものを、ぼそぼそ書きはじめて、自分の文学のすすむべき路(みち)すこしずつ、そのおのれの作品に依って知らされ、ま、こんなところかな? と多少、自信に似たものを得て、まえから腹案していた長い小説に取りかかった。
 昨年、九月、甲州の御坂(みさか)峠頂上の天下茶屋という茶店の二階を借りて、そこで少しずつ、その仕事をすすめて、どうやら百枚ちかくなって、読みかえしてみても、そんなに悪い出来ではない。あたらしく力を得て、とにかくこれを完成させぬうちは、東京へ帰るまい、と御坂(みさか)の木枯(こがらし)つよい日に、勝手にひとりで約束した。
 ばかな約束をしたものである。九月、十月、十一月、御坂の寒気堪えがたくなった。あのころは、心細い夜がつづいた。どうしようかと、さんざ迷った。自分 で勝手に、自分に約束して、いまさら、それを破れず、東京へ飛んで帰りたくても、何かそれは破戒のような気がして、峠のうえで、途方に暮れた。甲府へ降り ようと思った。甲府なら、東京よりも温いほどで、この冬も大丈夫すごせると思った。
 甲府へ降りた。たすかった。変なせきが出なくなった。甲府のまちはずれ下宿屋、日当りのいい一部屋かりて、机にむかって坐ってみて、よかったと思った。また、少しずつ仕事をすすめた。
 おひるごろから、ひとりでぼそぼそ仕事をしていると、わかい女の合唱が聞えて来る。私はペンを休めて、耳傾ける。下宿と小路ひとつ距(へだ)て製糸工場が在るのだ。そこの女工さんたちが、作業しながら、唄うのだ。なかにひとつ、際立っていい声が在って、そいつがリイドして唄うのだ。鶏群の一鶴(いっかく)、そんな感じだ。いい声だな、と思う。お礼を言いたいとさえ思った。工場の塀(へい)をよじのぼって、その声の主を、ひとめ見たいとさえ思った。
 ここにひとり、わびしい男がいて、毎日毎日あなたの唄で、どんなに救われているかわからない、あなたは、それをご存じない、あなたは私を、私の仕事を、どんなに、けなげに、はげまして呉(く)れたか、私は、しんからお礼を言いたい。そんなことを書き散らして、工場の窓から、投文(なげぶみ)しようかとも思った。
 けれども、そんなことして、あの女工さん、おどろき、おそれてふっと声を失ったら、これは困る。無心の唄を、私のお礼が、かえって濁らせるようなことがあっては、罪悪である。私は、ひとりでやきもきしていた。
 恋、かも知れなかった。二月、寒いしずかな夜である。工場の小路で、酔漢の荒い言葉が、突然起った。私は、耳をすました。
 ――ば、ばかにするなよ。何がおかしいんだ。たまに酒を呑んだからって、おらあ笑われるような覚えは無(ね)え。 I can speak English. おれは、夜学へ行ってんだよ。姉さん知ってるかい? 知らねえだろう。おふくろにも内緒で、こっそり夜学へかよっているんだ。偉くならなければ、いけない からな。姉さん、何がおかしいんだ。何を、そんなに笑うんだ。こう、姉さん。おらあな、いまに出征するんだ。そのときは、おどろくなよ。のんだくれの弟 だって、人なみの働きはできるさ。嘘だよ、まだ出征とは、きまってねえのだ。だけども、さ、I can speak English. Can you speak English? Yes, I can. いいなあ、英語って奴は。姉さん、はっきり言って呉れ、おらあ、いい子だな、な、いい子だろう? おふくろなんて、なんにも判りゃしないのだ。……
 私は、障子を少しあけて、小路を見おろす。はじめ、白梅かと思った。ちがった。その弟の白いレンコオトだった。
 季節はずれのそのレンコオトを着て、弟は寒そうに、工場の塀にひたと脊中(せなか)をくっつけて立っていて、その塀の上の、工場の窓から、ひとりの女工さんが、上半身乗り出し、酔った弟を、見つめている。
 月が出ていたけれど、その弟の顔も、女工さんの顔も、はっきりとは見えなかった。姉の顔は、まるく、ほの白く、笑っているようである。弟の顔は、黒く、 まだ幼い感じであった。I can speak というその酔漢の英語が、くるしいくらい私を撃った。はじめに言葉ありき。よろずのもの、これに拠りて成る。ふっと私は、忘れた歌を思い出したような気が した。たあいない風景ではあったが、けれども、私には忘れがたい。
 あの夜の女工さんは、あのいい声のひとであるか、どうかは、それは、知らない。ちがうだろうね。
(「若草」昭和十四年二月号)


忍従:[名](スル)がまんして従うこと。「辛い境遇に―する」

わびしさ:【×侘しい】
    [形][文]わび・し[シク]
    1 ひどくもの静かでさびしい。「人里離れた―・い田舎」
    2 心が慰められないさま。心細い。「ひとり―・く夕食をとる」「―・い下宿生活」
    3 貧しくてあわれなさま。みすぼらしい。「―・い住居」
    4 つらく悲しい。やるせない。
    「苦しく心もとなければ、…いと―・し」〈土佐〉
    5 当惑するさま。やりきれない。
    「あな―・し。人の有りける所をと思ふに」〈今昔・二七・一五〉
    6 興ざめである。おもしろくない。
    「前栽の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目も苦しく、いと―・し」〈徒然・一〇〉
    [派生]わびしがる[動ラ五]わびしげ[形動]わびしさ[名]

かくて:[接]前に述べた事柄を受けて、あとの事柄が起こり、あるいは、あとの事柄に移っていくことを表す。こうして。このようにして。かくして。「―一年が過ぎた」

仕合せ幸せ、仕合わせ。

となむ(古語)…ということだ。

出典:方丈記「舞人(まひびと)を宿せる仮屋より出(い)で来たりけるとなむ」

[訳] (火事は)舞をする人を泊めた仮小屋から起こったということだ。
なりたち:格助詞「と」+係助詞「なむ」

まちはずれ:町の中心部から離れた、人家がつきようとするところ。町のはずれ。

下宿

ある期間、あらかじめ契約を結んで部屋を借り、部屋代・食費などを払って居住すること。また、その家。「大学の近くに―する」
宿泊費の安い下等な旅館。安宿。したやど。

リイド:リード

鶏群の一鶴けいぐんのいっかく 《「晋書」嵆紹伝から》凡人の中に、すぐれた人物が一人まじっていることのたとえ。

よじのぼって:攀じ登る 物にとりすがってのぼる。「岩山を―・る」

けなげ:

殊勝なさま。心がけがよく、しっかりしているさま。特に、年少者や力の弱い者が困難なことに立ち向かっていくさま。「一家を支えた―な少年」「―に振る舞う」
勇ましく気丈なさま。

健康であるさま。

やきもき:[副](スル)あれこれと気をもんでいらいらするさま。「まにあうかどうか―する」

のんだくれ酒を飲んで酔っ払い、だらしなくしている人を指し、古く江戸時代から使われる言葉である。現在も酔っ払っている人、朝から晩まで酒を飲んでばかりのだらしない暮らしぶりの人、大酒飲みでたちが悪い人を罵る言葉として使われる。

なみ名詞の下に付いて接尾語的に用いられる。

㋐そのものと同じ、そのものと同じ程度などの意を表す。「例年―の気候」「世間―の生活」
㋑その物ごと、その時ごとの意を表す。「軒―」「月―」
㋒それが並んでいること、いくつも重なっている意を表す。「歯―」「家―」

よろず:

1000の10倍。まん。
数が非常に多いこと。たくさん。「―の神に祈る」「―の人々」
すべてのこと。万事。副詞的にも用いる。「―の相談事」「―承ります」
種類や形がさまざまであること。いろいろ。

たあいない:たわいない

正体がない。また、しまりがない。「―・く眠りこける」
しっかりした考えがない。また、幼くて思慮分別がない。「―・く冗談を交わす」「―・い子供のいたずら」
手ごたえや張り合いがない。「―・く負ける」


昭和十四年

最后编辑于:2016-05-01 21:34
分类: 学习

标签: 听说写译

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