変更されたいくつかの事実

发表于:2015-09-22 11:42 [只看楼主] [划词开启]
时间:2015-09-22 11:40~2016-04-22 01:00
地点: 南京
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第3章 青豆

      変更されたいくつかの事実

 

 

 青豆はストッキングだけの素足で、狭い非常階段を降りた。むき出しの階段を風が音を立てて吹き抜けていった。タイトなミニスカートだったが、それでも時折下から吹き込む強い風にあおられてヨットの帆のようにふくらみ、身体が持ち上げられて不安定になった。彼女は手すりがわりのパイプを素手でしっかりと握り、後ろ向きになって一段一段下に向かった。ときどき立ち止まって顔にかかった前髪を払い、たすきがけにしたショルダーバッグの位置を調整した。

 眼下には国道二四六号線が走っていた。エンジン音やクラクション、車の防犯アラームの悲鳴、右翼の街宣車が流す古い軍歌、スレッジハンマーがどこかでコンクリートを砕いている音、その他ありとあらゆる都会の騒音が、彼女を取り囲んでいた。騒音はまわり三六〇度、上から下から、すべての方向から押し寄せてきて、風に乗って舞った。それを聞いていると(とくに聞きたくもないが、耳をふさいでいる余裕もない)、だんだん船酔いに似た気分の悪さを感じるようになった。

 階段をしばらく降りたところで、高速道路の中央に向けて戻っていく平らな通路があった。それからまたまっすぐ下に向かって降りていく。

 むき出しの非常階段から道路をひとつ隔てて、五階建ての小さなマンションが建っていた。茶色の煉瓦タイルのけっこう新しい建物だ。こちらに向かってベランダがついていたが、どの窓もぴたりと閉ざされ、カーテンかブラインドがかかっている。いったいどんな種類の建築家が、首都高速道路と鼻をつき合わせるような位置にわざわざベランダをつけたりするのだろう? そんなところにシーツを干す人間もいないだろうし、そんなところで夕方の交通渋滞を眺めながらジン・トニックのグラスを傾ける人間もいないはずだ。それでもいくつかのベランダには、決まり事のようにナイロンの物干しロープが張ってあった。ひとつにはガーデンチェアと鉢植えのゴムの木まで置かれていた。うらぶれて色槌せたゴムの木だった。葉はぼろぼろになり、あちこちで茶色く枯れている。青豆はそのゴムの木に同情しないわけにはいかなかった。もし生まれ変われるとしてもそんなものにだけはなりたくない。

 非常階段はふだんほとんど使われていないらしく、ところどころに蜘蛛の巣が張っていた。小さな黒い蜘蛛がそこにへばりついて、小さな獲物がやってくるのを我慢強く待っていた。しかし蜘蛛にしてみれば、とくに我慢強いという意識もないのだろう。蜘蛛としては巣を張る以外にとくべつな技能もないし、そこでじっとしている以外にライフスタイルの選択肢もない。ひとところに留まって獲物を待ち続け、そのうちに寿命が尽きて死んでひからびてしまう。すべては遺伝子の中に前もって設定されていることだ。そこには迷いもなく、絶望もなく、後悔もない。形而上的な疑問も、モラルの葛藤もない。おそらく。でも私はそうじゃない。私は目的に沿って移動しなくてはならないし、だからこそこうしてストッキングをだめにしながら、ろくでもない三軒茶屋あたりで、首都高速道路三号線のわけのわからない非常階段を一人で降りている。しみったれた蜘蛛の巣をはらい、馬鹿げたベランダの汚れたゴムの木を眺めながら。

 私は移動する。ゆえに私はある。

 青豆は階段を降りながら、大塚|環のことを考えた。考えるつもりはなかったのだが、一度頭に浮かんでしまうと、考えることを止められなかった。環は彼女の高校時代のいちばんの親友であり、同じソフトボール部に属していた。二人はチームメイトとしていろんなところに一緒に行ったし、いろんなことを一緒にした。一度レズビアンのような真似をしたこともある。夏休みに二人で旅行をしていたとき、ひとつのベッドに寝ることになった。セミダブル・ベッドの部屋しかとれなかったのだ。そのベッドの中で二人はお互いの身体の様々な場所を触り合った。レズビアンだったわけではない。ただ少女特有の好奇心に駆られて、それらしきことを大胆に試してみただけだ。そのとき二人にはまだボーイフレンドがいなかったし、性的な経験もまったくなかった。その夜の出来事は今となっては、人生における「例外的ではあるが興味深い」エピソードとして記憶に残っているだけだ。しかしむきだしの鉄の階段を降りながら、環と身体を触り合ったときのことを思い出していると、青豆の身体が奥の方で少し熱を持ち始めたようだった。環の楕円形の乳首や、薄い陰毛や、お尻のきれいな膨らみや、クリトリスのかたちを、青豆は今でも不思議なくらい鮮明に覚えていた。

 そんな生々しい記憶をたどっているうちに、青豆の頭の中にまるでその背景音楽のように、ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』の管楽器の祝祭的なユニゾンが朗々と鳴り響いた。彼女の手のひらは大塚環の身体のくびれた部分をそっと撫でていった。相手は初めはくすぐったがっていたが、そのうちにくすくす笑いが止まった。息づかいが変わった。その音楽はもともと、ある体育大会のためのファンファーレとして作曲されたものだ。その音楽にあわせて、ボヘミアの緑の草原を風がやさしくわたっていった。相手の乳首が突然硬くなっていくのがわかった。彼女自身の乳首も同じように硬くなった。そしてティンパニが複雑な音型を描いた。

 青豆は歩を止めて何度か小さく頭を振った。こんなところでこんなことを考えていてはいけない。階段を降りることに意識を集中しなくては、と彼女は思った。でも考えることはやめられなかった。そのときの情景が彼女の脳裏に次々に浮かんできた。とても鮮明に。夏の夜、狭いベッド、微かな汗の匂い。口にされた言葉。言葉にならない気持ち。忘れられてしまった約束。実現しなかった希望。行き場を失った憧憬。一陣の風が彼女の髪を持ち上げ、それをまた頬に打ちつけた。その痛みは彼女の目に涙をうっすらと浮かべさせた。そして次にやってきた風がその涙を乾かしていった。

 あれはいつのことだっけ、と青豆は思った。しかし時間は記憶の中でからまりあい、もつれた糸のようになっている。まっすぐな軸が失われ、前後左右が乱れている。抽斗の位置が入れ替わっている。思い出せるはずのことがなぜか思い出せない。今は一九八四年四月だ。私が生まれたのは、そう一九五四年だ。そこまでは思い出せる。しかしそのような刻印された時間は、彼女の意識の中で急速にその実体を失っていく。年号をプリントされた白いカードが、強風の中で四方八方にばらばら散っていく光景が目に浮かぶ。彼女は走っていって、それを一枚でも多く拾い集めようとする。しかし風が強すぎる。失われていくカードの数も多すぎる。1954, 1984, 1645, 1881, 2006, 771, 2041……そんな年号が次々に吹き飛ばされていく。系統が失われ、知識が消滅し、思考の階段が足元で崩れ落ちていく。

 青豆と環は同じベッドの中にいる。二人は十七歳で、与えられた自由を満喫している。それは彼女たちにとって最初の、友だち同士ででかける旅行だ。そのことが二人を興奮させる。彼女たちは温泉に入り、冷蔵庫の缶ビールを半分ずつ分けて飲み、それから明かりを消してベッドに潜り込む。最初のうち二人はただふざけている。面白半分にお互いの身体をつつきあっている。でも環がある時点で手を伸ばして、寝間着がわりの薄いTシャツの上から、青豆の乳首をそっとつまむ。青豆の身体の中に電流のようなものが走る。二人はやがてシャツを脱ぎ、下着をとって裸になる。夏の夜だ。どこを旅行したんだっけ? 思い出せない。どこでもいい。彼女たちはどちらから言い出すともなく、お互いの身体を細かく点検してみる。眺め、さわり、撫で、キスし、舌でなめる。半ば冗談で、そして半ば真剣に。環は小柄で、どちらかといえばぽっちゃりとしている。乳房も大きい。青豆はどちらかといえば背が高く痩せている。筋肉質で乳房はあまり大きくない。環はいつもダイエットをしなくちゃと言っている。でもこのままでじゅうぶん素敵なのにと青豆は思う。

 環の肌はやわらかく、きめが細かい。乳首は美しい楕円形に膨らんでいる。それはオリーブの実を思わせる。陰毛は薄く細く、繊細な柳のようだ。青豆のそれはごわごわとして硬い。二人はその違いに笑い合う。二人はそれぞれの身体の細かいところをさわりあい、どこの部分がいちばん感じるか、情報を交換し合う。一致するところもあるし、しないところもある。それから二人は指をのばして、お互いのクリトリスをさわり合う。どちらも自慰の経験はある。たくさんある。自分のとはずいぶんさわり心地が違うものだ、とお互いが思う。風がボヘミアの緑の草原をわたっていく。

 青豆はまた立ち止まり、また首を振る。深いため息をつき、握った階段のパイプをもう一度しっかり握り直す。こんなことを考えるのはやめなくてはいけない。階段を降りることに意識を集中しなくては。もう半分以上は降りたはずだ、と青豆は思う。それにしてもどうしてこんなに騒音がひどいのだろう。どうしてこんなに風が強いのだろう。それらは私を答め、罰しているみたいにも感じられる。

 それはともかく、この階段を地上まで降りたとき、もしそこに誰かがいて、声をかけられ事情をきかれたり、素性を尋ねられたりしたら、いったいなんと答えればいいのだろう。「高速道路が渋滞していたので、非常階段を使って降りてきたんです。急ぎの用事があったものですから」と言って、それで済むものだろうか? ひょっとしたら面倒なことになるかも知れない。青豆はいかなる種類の面倒にも巻き込まれたくなかった。少なくとも今日は。

 

 ありがたいことに地上には、降りてくる彼女を見とがめるものはいなかった。地上に降りると青豆はまずバッグから靴を出して履いた。階段の下は二四六号線の上り線と下り線にはさまれた高架下の空き地で、資材置き場になっていた。まわりを金属の板塀で取り囲まれ、むき出しの地面に鉄柱が何本か転がっている。何かの工事のあとに余ったものなのだろう、錆びるままにうち捨てられていた。プラスチックの屋根が設置された一角があり、その下に布袋が三つ積み上げられていた。何が入っているのかはわからないが、雨に濡れないようにビニールのカバーがかけられている。それも何かの工事の最後に余ったものらしい。いちいち運び出すのが面倒なので、そのまま放ってあるようだ。屋根の下には、潰れた大きな段ボール箱もいくつかあった。数本のペットボトルと、漫画雑誌が何冊か地面に捨てられている。そのほかには何もない。ビニールの買い物袋があてもなく風に舞っているだけだ。

 金網の扉のついた入口があったが、チェーンが幾重にも巻き付けられ、大きな南京錠がかかっていた。高い扉で、てっぺんには有刺鉄線までめぐらされている。とても乗り越えられそうにはない。もし乗り越えられたとしても、服はずたずたになってしまう。ためしに扉を押したり引いたりしてみたが、ぴくりとも動かなかった。猫が出入りするほどの隙間もない。やれやれ、どうしてここまで戸締まりを厳しくしなくちゃならないんだ。盗まれて困るものなんて何もないっていうのに。彼女は顔をしかめ、毒づき、地面に唾まで吐いた。まったく、せっかく苦労して高速道路から降りてきたと


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